4 本屋、古本屋

「らんま1/2」台湾版。海賊版時代は「七笑拳」と呼ばれていましたが、正規版では日本にあわせて「乱馬1/2」に変えたようです。この二人のキャラクター名は「姫乱馬」と「銭小茜」といいます。「早乙女」とか「天道」といった二文字以上の姓に違和感があるのか、中国風の姓になっています。

 本屋はそこら中にあった。文字の本はよく分からないのでもっぱら雑誌と漫画の話をしたい。期待していた海賊版は全く見られず、正規のものばかりだった。漫画の単行本は、日本で出ているものはほとんど台湾にもあった。七龍珠(ドラゴンボール)や美少女戦士(セーラームーン)や風之谷(ナウシカ)や阿基拉(アキラ)なんか当たり前で、「五星故事(ファイブスター物語)」やら「超時空要塞7(マクロス7)」といったオタク系、日野日出志だの御茶漬海苔といったホラー系、マイナーな少女漫画から何からそろっていた。とにかくなんでも訳しているようだった。(さすがに「聖マッスル」とかはなかったが)ところが、ドラえもんがほとんどないのである。これは不思議だった。「極真会館流空手」(空手バカ一代)まで出ているというのに・・。

 日本の漫画があまりに普通に売られているので、なんだかありがたみがなくて、台湾の人間が書いた漫画の方に興味が向いた。台湾の漫画の文法は日本のものと全く同じである。台詞を置き換えればそのまま通用する。(韓国など横書き文化圏では日本の漫画と反対に左から右にページを繰るが、台湾では日本同様右から繰るため、感覚的にも似ている。)

★漫画の紹介ページに飛びます。もどる時はブラウザの「もどる」ボタンを押して下さい。

 雑誌も、アニメ誌や漫画雑誌はもちろん、女性誌みたいなものまで日本のもの(訳したのもそのままの奴も)がいっぱいあった。健康法の本まであったし、・・

 そういえば雑誌じゃないけど「脳内革命」や「ダイエット革命」まであった。なんだか日本のものならなんでもいいみたいである。

 台湾独自の雑誌としては、「勁POWER」というアニメ誌を買った。「鋼弾X(ガンダムX)」が表紙で「逮捕令(逮捕しちゃうぞ)」が裏表紙という魅力的な装丁で、中身も異常に濃い。「宮崎駿の世界」「CLAMPについて」「少女革命烏蒂娜(ウテナ)」「スレイヤーズ」「高橋留美子について」「機動戦艦撫子(ナデシコ)」「勇者王我王凱牙(ガオガイガー)」「銀河千金伝説YUNA(銀河お嬢様伝説ユナ)」「ガンダム20年史」「ファイブスター研究」「97年冬のコミケ探訪」「恐怖漫画の雄うめずかずお」「GS美神極楽大作戦」「浦澤直樹的怪物(モンスター)」「爆走兄弟レッツ&ゴー」「ガンプラの世界」・・ちょっと目次を見るだけでこれだ。他にアニメ誌は見られなかったが、装丁といい内容といい素晴らしすぎる。アニメージュより面白いぐらいだ。

 あと、ホモ雑誌がたくさん堂々とおかれていた。記念に小説を一つ買ったが、挿し絵を見てうわっ、となった。

 士林の漫画屋はキツかった。店内にはコスプレをした人たちの写真が飾られており、大声でなにやら怪しげな連中が大声でうれしそうに喋っていた。何を喋っていたことやら。 ここではなんと台湾の同人誌が手にはいった。

 

 古本屋。八徳路というところに怪しいビルがあって、変なゲーム屋や古本屋やエロ本屋が集まっている。ここで「ドラえもん」の海賊版を大量に発見した。著作権法改正前のものらしく、かなり古いものが多かった。大体只のコピーなのだが、中には鬼太郎やオバQとごちゃごちゃにしている奴や、キテレツのキャラクターをドラえもんのキャラクターに置き換えて「ドラえもん」として売っている奴、全くのオリジナル作品をドラえもんのキャラクターを使って作っている奴などがあってあなどれない。おそらくコピーする元が尽きてしまったが、読者が「もっとないんか」というんで「ないんなら作ってしまえばいい」と、でっち上げたものに違いない。絵がうまくてオリジナルだと気が付かないのも多く、そこらへんの技術力の高さはすばらしいものである。

 「ないんなら作ってしまえ」精神は、今も健在である。「エヴァンゲリオン」テレビ版のビデオは、最後の二本が日本ではいまだに出ていない。出るべき時からもう一年以上経っているのに、作りなおしだとかなんとか言って出さないのだ。(注:平成10年3月にこの文章は書かれた)ところが台湾ではちゃんと最後まで出ている。ちゃんと本物っぽいデザインの箱に入って売られているのだ。たぶんテレビの録画からでっち上げたのだろう。

 あやしいCDもいっぱい売っていた。ゲームを30個ぐらい集めたCD、日本のエロゲー、ギャルゲーや格ゲーやアニメから3000の画像を集めたCD、安室のシングル8枚を1枚のCDにまとめたもの、等々。日本の歌手のCDはなんでもあった。軍歌までも!日本の有名人は向こうでも有名なのだ。日本のAVギャルも人気がある。Bejeanの海賊版らしきものはよく見かけた。

 

 それにしても台湾における日本文化の浸透ぶりはすごい。植民地時代ではなく現代においてもだ!それに対して日本における台湾文化といったら焼ビーフンとテンテンと王選手とゴルフとビビアン・スーと片腕ドラゴンぐらいしか思いつかないが、むこうは違う。すこしは香港ばかりでなく台湾にも目を向けても良さそうなものだ。

next