ハイリハイリフレ背後霊過去ログ231〜240 |
240.ボーダーランド | 2003.10.22 |
1996年ごろ、「ボーダーランド」という雑誌が創刊された。「超常現象の謎とタブーに挑戦するラディカル・マガジン」ということで、創刊号を私も購入した。今見直すと、「宇宙人解剖フィルムの真相を暴く!」「仰天スクープ『あっ、サイババが2人いる!』」「超常帝国プエルトリコ!『宇宙人との混血』を名乗る女」など、時代を感じさせる記事が多い。タイトルだけ見ると煽情的な記事が多いようだが、懐疑派の意見も載せるなど、学研の「ムー」のように完全に信じている記事ばかりにはならないように、差別化をはかっていたようだった。
雑誌では情報提供のお願いのほか、スタッフの募集もしていた。
ハイパーGirl&Lady大募集! 『ボーダーランド』では、普通とはちょっと違う能力・パワーのあるフォトジェニックな女性を大募集。年齢は16歳から22歳まで。予知能力があったり、スプーン曲げができたり、偶然とは考えられないようなことがよく起きたり……。UFOとのコンタクト体験があるなんて女性も大歓迎です。優れた超感覚とボーダーな魅力を持った女性は『ボーダーランド』が全面的にバックアップ。グラビアページを飾っていただきます。
ということであった。フォトジェニックというところが難しいところである。
巻末には画家の横尾忠則がエッセイを載せていた。冒頭からかなり飛ばしている。
UFOはあるのか、ないのか。あるに決まっている。物事は疑うところから出発するのではなく、信ずるところから出発しなければならない。疑って、疑って、答を求めて、答を求めた結果があの恐しい核兵器を作ってしまったではないか。
そして、70年代の自身のコンタクト体験を述べはじめる。
「横尾さんですね、われわれは長い間あなたを見守っていましたが、今やっと会うことができましたね」
なんと、彼は宇宙人に「アストラル・ボディ」に「アストラル手術」をされてしまったという。それ以来、人生にさまざまな変化が起こり、意識が向上した、というのであった。そして彼は言う。
現在の地球の科学では考えられないことが現実では起こっているのだ。科学者が宇宙のETに電波を送ってその存在とコンタクトしたがっているが、そんな方法とはまったく別の回路を使って宇宙人は多くの地球人とコンタクトを行っているという事実をもっと認識する必要があると思う。
はじめから終わりまで驚くことばかりで、この調子で毎回続けてくれることを私は期待していたのだが、しばらくたって雑誌を見るともう連載は打ち切られていた。
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239.ところてん式 | 2003.10.20 |
以前、子供がビー玉や十円玉を鼻の穴に詰めてしまう、という話をしていたのだが、そのときに彦根のT君から聞いた話である。
T君が中学生の頃、通っていた塾の先生が、腹具合がおかしくなって病院に行ったのだそうである。症状は、とにかく便が細くなるというもので、いくら力を入れても糸のような便が少しずつしか出ない。長い間さんざん苦しみぬいたあげく、彼は医者のもとを訪れた。医者は患部を見て驚いた。
「五円玉が詰まっている!」
なんでも、幼少の頃彼は五円玉を飲み込んだことがあったらしく、それが30年かけてようやく出口にたどり着いたというわけなのであった。すぐに排出されそうなものだが、たまにはこうしてゆっくりと排泄されるものもあるのだという。ところが、最後の最後になぜかぴったりと肛門をふさぐ形でそれが詰まってしまった。五円玉の中心には穴があいている。その穴がマヨネーズの容器の口についた星型の穴と同じような役割を果たして、彼にひどい苦しみを味わわせたのであった。
医者が五円玉を摘出すると、たまりにたまった内容物が一気にほとばしり出た。手術後は体重が数キロ減り、それまで荒れていた肌はつややかになった。しかし、良いことばかりではなかった。彼は手術以来、ケーキの「モンブラン」が食べられなくなってしまったのである。
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238.確証はないがたぶん | 2003.10.17 |
バスに乗ったときのことである。私が座っていた席の前の席は二人がけになっていて、奥のほうにおっさんが座っており、通路側のほうは空いていた。おっさんは野球帽のような帽子をかぶり、口をあけたままガムをかんでいた。そのうち人が大勢乗ってきて、空いている席に別のおっさんが座ろうとした。するとはじめからいたおっさんはそれを邪魔するように体をのばし、近くに立っていた婆さんの肩をたたいた。そしてここに座れ、と言って自分が今まで座っていた席に婆さんを座らせた。おっさんは立って通路に出ると、空いている通路側の席に自分の荷物を置いた。もともと座ろうとして来たおっさんは変な顔をしていたが、やがてあきらめて前のほうに去った。ここで私は眠ってしまった。
目を覚ますと私の降りる停留所の手前だった。おっさんはいつの間にか私の後ろの席に座っており、あいかわらず口をあけたままガムをかんでいた。私が立って出口のほうに向かうと、おっさんは急に立ち上がって私を押しのけて前に進み、一番前の路線図を指差しながら近くに座っていた人に「ここはどこか」という意味のことを聞いた。聞かれた人は説明をしたが、おっさんは聞いておらず
「この赤いところが読めない」
とよくわからないことを返していた。おっさんはその停留所で降り、いきなり近くにあった楽器屋に入っていった。私が見たのはここまでであるが、なんだかもやもやする「何か」を感じさせる人物であった。
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237.電車でGO | 2003.10.11 |
高校にいた頃聞いた話である。
陸上部にある男がいた。ある夕方学校の帰りに彼は疲れて、座って寝ていた。目を覚ますと自分の降りる駅だった。焦った彼は得意の頭を突き出したダッシュで外へ飛び出そうとした。しかしドアが閉まるほうが早く、彼は首をはさまれて動けなくなってしまった。
また、こんなこともあった。この男が毎朝乗る電車は女子中高生がやたらに多い車両だった。それと関係があるのかないのか、その日も彼はつり革にぶら下がりながら、前が立ってくるのを隠すのに懸命になっていた。すると、うまい具合に目の前の人が席から立って出ていった。よし、と思った彼は急いで座ろうとした。ところがつり革から手が抜けなかったので、彼はつり革を中心にしてくるくる回転した。
さらに、こんなこともあった。この男が夕方満員電車の中で立っていたときのことである。彼のあごの下には美しいスキンヘッドがあった。彼はじっとその頭を見ながらその完璧さに感動していたのだが、そのとき電車がガタンとゆれた。よろめいた彼はあっあっと支えるものを探したあげく、目の前のスキンヘッドにぺしゃりと手をついてしまった。そのとたん、まわりから爆笑が起こった。彼はいまさら手を離すのもきまりが悪いのでそのまま手を頭にくっつけていた。するとスキンヘッドがするすると回転しておっさんの顔がこちらを向いた。おっさんは彼をにらみつけたまま次の駅までじっとしていた。
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236.台所の神様 | 2003.10.10 |
ステンレス製の流しに湯を捨てると、金属が熱で変形して「ボン」という音がする。私はそれが面白くて、カップ焼きそばの湯を捨てるときはわざと音をさせて遊んでいた。
Yさんがいる会社で、発端はよくわからないが
「流しに湯を捨てるとき、そのまま捨てるか?水道から水を流しながら捨てるか?」
ということが議論になったらしい。その場にいた多くの人が水を流しながら捨てる、と答えた。理由は「汚れるから」「『ボン』という音がしないように」といったものだったが、一人
「神様がいるから」
と答えたOLがいた。なんでも、水まわりには神様がいるから、粗略に扱ってはいけないのだそうである。
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またぎきなので怪しいのだが、台所には妖怪「ぼんさん」がいるのだ、という話も聞いた。ぼんさんは普段流しの下にいて、流れてくる水を飲んで暮らしている。熱湯を急に流すと、ぼんさんがびっくりして頭を流しの下にぶつけるので「ボン」という音がするのである。
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235.ハレー・クリシュナ | 2003.10.05 |
「いまどきの神サマ」(JICC出版局「別冊宝島」114、1990年7月12日発行)という、新宗教について特集した本がある。私が高校生の頃買ったものだ。オウム事件前の精神世界ブームの頃で、オウム真理教のことも割合肯定的に取り上げられている。
「今、こうしている間にも、ハルマゲドンは刻一刻と近づいているんです。早く仲間を見つけ出さないと…」
などという発言をする二十歳・女性(本名:サディラ、本当の職業:戦士、本当の性別:男)へのインタビューなど、面白すぎる記事がたくさん載っている。
さて、「新宗教は終末をどう考えているのか?!」という記事がある。「ノストラダムスが予言した滅亡の1999年も近づき、環境破壊による危機感も高まっている世紀末の今、宗教団体はどんな救いの道を主張しているのか?」というアンケートである。質問の内容は次の三つである。
破滅のある、ないはいろいろだが、大抵の団体は「危機は訪れている」と答えている。理由は大同小異で、
「人心の荒廃」
「環境破壊」
「核戦争の危機」
といったものである。そして、破滅を避けるためには人間が心を改めなければならない、と説くのである。たとえば、以下のようにである。
このような我欲の追求ばかりに人類が奔走しますと、その心が現実化して地球の自然破壊はますます進行します。だから、このままでは人類は利己心をのさばらせて、自らの環境を破壊することによって滅びる可能性はあります。
ところが、一つだけ独特の世界観(宇宙観)を示している団体があった。「クリシュナ意識国際協会」である。
破滅の危機は近いのか?
インドの古典文学『バガヴァッド・ギーター』には宇宙レヴェルでの破滅の記述があります。視野を人類だけに限るのではなく、より広い視野から物事を見ることを『バガヴァッド・ギーター』は教えています。
どんな危機か?
『バガヴァッド・ギーター』には次のように記されています。
(8・17)地球的記算によれば(四つの時代を一周期として)ブラフマーの一昼は千周期。そして一夜も千周期。
(8・18)ブラフマーの昼が始まると全生物は姿を現わし、ブラフマーの夜が来ると彼らは再びその姿を消す。
(8・19)何度も何度もブラフマーの夜が明ける度、全生物は現われ出てブラフマーの夜が訪れる度、彼らは絶望的に消滅する。(中略)
ここにあるブラフマーとはこの物質宇宙を創造した人物で、四つの時代とは「サチャ」「トレーター」「ドヴァーパラ」「カリ」の時代と呼ばれ、それぞれの期間は百七十二万八千年、百二十九万六千年、八十六万四千年、四十三万二千年です。
どうすれば回避できるのか?
(中略)その精神界に帰ることにより破壊ばかりでなく、あらゆる危機から解放されます。
精神界に帰る為には古代から様々な行法が伝わっていますが現代では神の聖名
「ハレー・クリシュナ、ハレー・クリシュナ
クリシュナ・クリシュナ、ハレー・ハレー
ハレー・ラーマ、ハレー・ラーマ
ラーマ・ラーマ、ハレー・ハレー」
を唱えることが勧められています。
実にどうもスケールの大きな話なのであった。
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234.進化論は間違っている | 2003.10.04 |
私が高校にいたときのことだ。ある年、文化祭で
「進化論は間違っている!!」
という展示がされていた。私より一年年下の、ちょっと変わった男がほぼ一人でやっていて、「進化論者による捏造」などを糾弾するような記事や写真で教室があふれていた。聞くところによると、彼はアメリカから帰ってきて以来そう主張するようになったのだという。男は見学者に対して激しく自分の主張を繰り返していた。
ところで、私がいた高校は男子校だったのだが、文化祭のときは恒例行事として「ミス××(高校の名前)」というイベントがあった。要するに女装コンテストなのだが、非常に盛り上がるので、毎年楽しみに見ていた。その年は「ミス縄文人」と称して葉っぱを体に巻きつけただけの男が出てきたのが印象に残っている。たしか、陸上部の代表だった。なんでも、恥ずかしいからそうしたらしいのだが、そちらのほうがよっぽど恥ずかしいと思う。
さて、その年もイベントは盛り上がっていた。そんな中、さっき見たばかりの反進化論者の男がボディコンみたいな変な服を着て現れたので意外だった。出たものは、ステージ上で何か喋らないといけない。男は、司会者からマイクを受け取ると叫んだ。
「みなさん!進化論は間違っています!!」
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233.今日から君も餓鬼だ!! | 2003.10.02 |
以下は、当時14歳だった私に多大なインパクトを与えた、1988年に私の中学校で発行された「学報」の記事である。(参考:200.ケラの息子)文中に「先号の云々」とあるのはその関係である。もとは一問一答という形だったが、JavaScriptを使用してゲーム感覚で見られるようにしてみた。
今日から君も餓鬼だ!!
先号の”今日から君もPunksだ”の著者である私は実は深く反省しているのである。読むと、まあ楽しいが、あんなもので××生は反省してくれない。反対に、Punks度40だとか言って嬉しがってしまう可能性があるのだ。 そこでだ!私は”何!悪事を働くとこんな風になるのか。”とか言って、読者が恐れて正しい中学生活を送ってしまうようなものを書くことにした。 始めは地獄の責苦でも書こうと思ったが、もう少し軽くして、餓鬼道の責苦の紹介をすることにした。 講談社学術文庫の”地獄の話”(中学生の読む本かいな?)から書いたんだが、何しろ言葉が難しくて易しい言葉にするのに苦労した。 前とパターンが違う。 1の悪事をすると、1の責苦を受けるという風になっている。
(注)JavaScriptが有効な場合、した悪事をチェックしてボタンを押すと、受ける責苦が列挙されるようにしました
では反省しながら、恐れながらやってみるように!悪事
実はコレ、”餓鬼報恩経”というれっきとしたお経からの出典なのである。だから悪事の29のような少し謎なのもある。その経によれば、この餓鬼道の責苦を受けた後、さらに地獄の責苦を受けなければならないとも書いてある。当然、地獄の責苦は餓鬼とは比べ物にならない程ひどく、等活地獄、黒縄地獄、衆台地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄、阿鼻地獄のいわゆる八大地獄に分かれていて、とりわけ阿鼻地獄は無間地獄とも言われる最も恐ろしい責苦のある地獄である。絶対に地獄はもちろん餓鬼道にも行きたくない今日この頃、思わず悪事をはたらきそうになれば、このページを思い出して、鬼に切り刻まれる場面など想像すれば、悪事など誰にも働けっこないのだ!と脅しをかけたところで今回もお分かれです。楽しい未来を送るためにも一日一善を心掛けましょう。ではさようなら。
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お経には、たとえ話としてとんでもない話がたくさん出てくる。たとえば、
「ガンジス河の砂の数ほどのガンジス河の砂の数」
だの、
「ここに一辺が9キロもある大岩があるとする。千年に一度天人が降りてきて、その岩の上を通過する。天人の着ている薄い衣のすそがちょっと岩をなでる。そうして、その岩が擦り切れてなくなるまでの時間」
といったものが有名である。私はこの手の話が好きでよく喜んで読んだ。その中の一つに、次のような話があった。紅蓮地獄に落ちた人がいかに悲惨な運命をたどるか、という話である。
紅蓮地獄に落ちた人は非常に辛い環境で長い間生きつづけなければならない。コーサラ国の升目で20カーリカの胡麻を、百年に一粒ずつ取り出して、それが全部尽きたとしても、アッブダ地獄の寿命には足りない。20のアッブダ地獄(の寿命の長さ)は1つのニラッブダ地獄(の寿命の長さ)に等しい。20のニラッブダ地獄は1つのアババ地獄に、20のアババ地獄は1つのアハハ地獄に、20のアハハ地獄は1つのアタタ地獄に、20のアタタ地獄は1つの黄蓮地獄に、20の黄蓮地獄は1つの白睡蓮地獄に、20の白睡蓮地獄は1つの青蓮地獄に、20の青蓮地獄は1つの白蓮地獄に、20の白蓮地獄は1つの紅蓮地獄に長さが等しい。
(中村元訳:「ブッダのことば スッタニパータ」岩波文庫による)
まったくどうでもいい話だが、アハハ地獄とはどんな場所なのだろうか。昔アニメ「ルパン三世」で、不二子という女のキャラクターが「くすぐり責め」にあうシーンがあったが、そんな場所を想像してしまった。
【2003.10.4追記】地獄には暑い地獄と寒い地獄がある。アッブダ地獄〜紅蓮地獄は、寒いほうの地獄である。奇妙な名前は、亡者たちが苦痛のあまり「あたた」「あはは」という声を出すことに由来する。つまり、「ウギャー地獄」「ウヒャー地獄」「ウヒョー地獄」ということである。
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232.ジャイナ教 | 2003.10.01 |
インドには仏教と同じ頃におこった「ジャイナ教」という宗教がある。仏典には、ブッダと同時代の六人の思想家たち…「六師外道(りくしげどう)」という…について述べられている。このうちの一人「ニガンタ・ナータプッタ」が開いたのがジャイナ教である。「ゴータマ・シッダルタ」が「ブッダ」という尊称で呼ばれているように、ニガンタ・ナータプッタは「マハーヴィーラ」と呼ばれている。
※ちなみに、あと5人の外道の名前は「プーラナ・カッサパ」(不因不果論)「サンジャヤ・ベーラッティブッタ」(不可知論)「マッカリ・ゴーサーラ」(アージーヴィカ教、運命論)「パグタ・カッチャーヤナ」(原子論)「アジタ・ケーサカンバリン」(四元素説)である。
このジャイナ教は仏教とよく似た宗教なのであるが、特に「不殺生」(ふせっしょう)を厳しく守るのが特徴である。虫を踏み潰したり飲み込んだりもしないように細心の注意を払う。その結果、ジャイナ教徒は農業ではなく商業にたずさわるものが多い。
※ちなみに仏教の五戒は「不殺生」(ふせっしょう)「不邪淫」(ふじゃいん)「不妄語」(ふもうご)「不偸盗」(ふちゅうとう…盗まないこと)「不飲酒」(ふおんじゅ)、ジャイナ教の五戒は「不殺生」「不邪淫」「不妄語」「不偸盗」「不所持」である。
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さて、このような話を聞いて興味を持ち、Nという男は友人たちと神戸のジャイナ教寺院に見学に出かけた。
中はとても快適だったので、彼らは床に寝そべってブッダとマハーヴィーラの関係などについて喋っていた。Nはあろうことかビーフジャーキーを食ったりしていた。寺院の沿革を語ったテープがずっと流れていたのだが、発音があまりにも日本人離れしているので彼らはげらげら笑った。すると、管理人の老女がやってきて彼らをにらみつけた。無視していたら出ていったのでますますくつろいでいると、今度は信者らしきインド人の男たちがたくさんやってきて
「ココ、ネル、ダメネ、ネル、ダメネ。オバチャン、チャントイッテクレナキャ、ダメヨ」
とわめいた。Nらは逃走した。
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231.超音波が | 2003.09.28 |
イルカマニアのF君は、彼女ができる前はいかれた言動が多かった。
彼は、ロボットを作るサークルにいた。そして、マイコンで走る小さな車に「いるか一号」という名前を付け、イルカらしく超音波が出せるようにスピーカーを目立つところにつけた。実際には超音波が出るような仕掛けはなかったのだが、「シンボル」としてつけたのである。ちょうど古代の儀式に使われた、刃のない「銅矛」のようなものだ。
彼はある競技会にそのロボットを出場させたのだが、残念ながらモーターが回らず、競技はリタイヤということになった。おおぜいの観客の前でロボットのボタンを押しては首をひねっている彼に、審査員は質問した。
「そのスピーカーはなんですか?」
「超音波が…」
F君は恥ずかしさのあまり下を向いたままぼそぼそつぶやいたが、審査員にはよくわからなかったらしい。
「ああ、超音波センサーですか」
「いや…」
結局、F君の真意は誰にも伝わらなかった。
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