ハイリハイリフレ背後霊過去ログ131〜140




140.アメーバ説を信じる? 2003.06.16

知合いのMはもともと神戸に住んでいたのだが、25歳ぐらいのとき北九州に転勤させられてしまった。無聊を囲うため、Mはテレクラをよく利用するようになった。年上好きの彼は、電話を通じて知り合った女性たちといろいろあったらしいが、大概の話はそれほど面白い話ではないので割愛する。

さて、ある時Mはいつものようにテレクラで知り合った女性と会う約束をした。約束の時間に駅に行ったところ、夜なのに大きな赤い帽子をかぶった、遠目にも異常な小太りの中年女がいた。「あっ!!」と思って逃げようとしたときにはもう遅く、Mは約束どおりその女と行動を共にしなければならなくなった。

変なところが律義なMは、遠くからきたというその女をホテルに連れていっ た。とりあえず泊まる場所を提供してさっさと帰ろうと思っていたのである。ところが、女はMを引き留めてこんな話を始めたので、帰るタイミングを失った。

「シンジ君は、アメーバ説を信じる?」

いったい何を言い出すのか、訳がわからなかったのだが、どうもこういうことらしい。人類はエロヒムという宇宙人が作ったロボットで、アメーバ説すなわち進化論は間違っているのだ。もうこの時点で彼はうんざりしていたのだが、そんな彼に業を煮やしたのか、女はいきなり胸をはだけてMに迫ってきたのだった。

「わたしがおばちゃんだからいけないの!?」

あまりに醜悪な肉塊を見て怖気をふるったMは、脱兎のごとく逃げ出した。

「かんべんしてください!!」

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その後出張で神戸に戻ってきたMと三宮で会ったのだが、そのときリンリンハウスというテレクラがあるのを見てこう言っていた。

「あー俺ちょっとその店行ってきたいわー」

本当に懲りない奴だなあとその時は思っただけだったのだが、次の週その店に火炎瓶が投げ込まれたというニュースを聞いてびっくりした。

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139.カランバ 2003.06.15

小学五年生のとき、同じクラスにいた浜井という男が股を裂いた。彼は友人と、講堂の前の階段で「何段降りられるか?」という競争をしていたのだが、不幸なことに7段目に砂が落ちていてすべりやすくなっていたのだった。肛門と陰嚢の間の皮膚が裂け、そこを麻酔なしで縫われた彼は泣き叫んだという。

それからしばらくして「カランバ」という猟奇残酷映画が小学生たちの間で話題になった。この頃はこの手の映画の全盛期で、「カランバ」は人体が裂ける描写があるのが売りだった。私のいた小学校では、「カランバ!」と叫びながら紙を裂いたり、割り箸を割ったり、人の指を両手で一本ずつつかんで左右に開いたりするのが流行した。その言葉を聞いたり叫んだりするたびに、私は浜井の事件を思い出したものである。カランバ!

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138.深田恭子と土人 2003.06.13

中国人学生向けのHTMLの授業の手伝いをしたことがある。

実習のとき、ここは何でもいいから好きな言葉を入れてください、ということがよくあった。「深田恭子」「深田恭子」とばかり入れるやつ、食べ物の名前ばっかり入れるやつ、「GAME OVER」「CONTINUE」「METAL GEAR SOLID」とゲーム関係の言葉ばっかり入れるやつなど、それぞれの趣味がわかって興味深かったことである。

さて、<PRE>タグ(整形済みテキストをそのまま表示するタグ)の実習のときのことである。

「文字を並べて、自分の名前の頭文字など、何でも好きな言葉を大きく表示してみなさい」

このような課題だったのだが、前のほうに座っていた女の子で、次のような文字をでかでかと表示させて満足げな表情をしている者がいた。

    HH           HH
    HH           HH
 HHHHHHHH        HH
    HH          HHHH
    HH        HH    HH
HHHHHHHHHHH HH        HH

あれは一体なんだったのだろうか。それとも中国には「深田恭子」と同じように「土人」という言葉があたりまえにあるのか。聞きそびれたので、今となってはもうわからない。

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137.人権問題で訴えるで 2003.06.12

以前、伊勢に行くために近鉄電車の特急に乗った。途中、デッキでおっさんが携帯電話で大声で喋りはじめた。

「人権問題で訴えるで」

「九州に五つ工場があんねんけどな」

「こっちかて喧嘩売られたら買わなしゃあない」

「弁護士に相談する」

「あんな人やめさすなんてアホやなてみんな笑ってるで」

などという声が断片的に聞こえてきた。どうも自分の身内が相手の会社から解雇されて文句を言っているらしい。おっさんが興奮して盛りあがってくるたびにトンネルに入って話は中断した。どうなるのかなと思って観察していたのだが、途中で降りていってしまったのでわからない。

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136.あの人はそんなことはしない 2003.06.11(6.12改訂)

Yさんの会社に、Nという30代後半のおっさんがいるらしい。N氏は女の好みにうるさく、ピアノを弾く女は駄目、前の彼女と同じ携帯電話を持っている女は駄目、眉毛の手入れをする女は駄目、ショールやワンピースを着る女は駄目など、よくわからない条件がいろいろあるのだそうだ。

このおっさんが、同じ会社内の女性にかなり惚れ込み、周りの人間に自分の熱い想いについて語りまくっていたことがあった。周りの人たちは、N氏がいろいろうるさいことを知っていたので、次のように尋ねた。

「その人はNさんの好みのこととか、全然知らないんでしょう。だったら、もしNさんが好きなその人が、前の彼女とおんなじ携帯持ってたり、ショールとかワンピースとか着てたりとかしたらどうするんですか?」

おっさんはしばらく考え込んだ末、次のように断言した。

「あの人はそんなことはしない!!」

結果としては、うまくいかなかったようである。

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135.私のお天使さま 2003.06.10

昔、パソコン通信で「UFO会議室」というものをいつも読んでいた。この会議室には肯定派と懐疑派が両方いて、普段は平和に盛り上がっているのだが、たまに論争が起こった。たいがいは懐疑派が肯定派に突っ込みを入れ、肯定派がほっといてくれ、と怒るというパターンで、あまり面白いものではなかった。なぜなら、ほとんどの場合議論は平行線をたどり、うやむやに終わるからである。UFOを見た側としては、どんなに非科学的だと難癖をつけられようとも、

「見たんだからしかたがない」

というところなのであろう。

懐疑派同士の論争は、これに比べるとかなり実のあるものが多かったが、理におちすぎてこれまた物足らないものがあった。

ところが、ごくたまに肯定派同士が論争になることがあって、これが端から見ていると非常に良いのだった。たとえば、こんな書き込みがあった。宇宙人に会ったとかいうことを書く人がとても多いが、自分にはどうも本当のこととは思われない、というのである。

「なぜなら、皆さんが会ったという宇宙人は、私のいつも会っている『お天使さま』とは違っているからです。どちらが本当なのか、一度じっくり話しあってみようではありませんか」

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134.もうあきちゃった 2003.06.09

私は超能力者にはまだ会ったことがないが、どんな人たちなのかはよく知っている。

超能力者といえば美少女でなければ子供である。美少女の超能力者については、有名な「イヤボーンの法則」をはじめ、すでにいろいろな人たちが書いているので、ここでは子供について取り上げよう。子供の超能力者の特徴は、次のようなものである。

話の展開としては、好き勝手なことをして「おもちゃのように」人を殺しまくる子供の超能力者が出てきて、それを普通人がぼろぼろになりながらやっつける、というのが定番である。

よく思うのだが、たまには大人の超能力者が性犯罪…大人が突然超能力を身につけたら普通まずこれだろう…や窃盗をしまくって、だれかが気づいて襲ってきても超能力でなぶり殺してしまい、たいていそういう展開の場合最後に「突然超能力がなくなってしまい金庫の中で窒息する」などという落ちがつくのだが、そんなものはなく、ただウハウハな生活「だけ」で終わりというのがあってもいいと思う。

「『おばあさんは、どうしてそんなに大きな口をしているの』『おまえを食べるためさ!』赤ずきんは、おおかみに食べられてしまいました。」

赤ずきんの話は、本当はここで終わっているべきだ。猟師が助けに来る、などというのは蛇足以外の何ものでもない。

(注)イヤボーンの法則:いたいけな美少女が悪の組織に捕まり、なぜか下着姿で壁に縛り付けられ、「おうちに帰して!!」となきわめくのに対し、「ぐふふふ、そうはいかない、お前が『力』に目覚める前に始末せよとの○○様のご命令だ」と悪の手下の魔手が少女に伸びるその刹那「イヤーッ!!」という叫び声とともに『力』が発動して爆発する手下の頭、というシーンがエスパーものでは定番であるという法則。「サルでも描けるまんが教室」(相原コージ・竹熊健太郎)に出てきた。

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133.未知への旅人 2003.06.08

昔、足を怪我して病院に行ったとき、待合室で見たテレビ番組が変だった。脱サラ(サラリーマンをやめること)して田舎暮らしを始めた夫婦がいる。彼らは子供たちを学校に行かせずに、家で独自の超能力教育を行っているという。画面には、母親が幼い娘にESPカードの模様を言い当てさせる様子が写っていた。

さて、超能力があるらしきその娘が、ある日夢を見た。「ババさま」という髪のもじゃもじゃした人の夢で、何だかやさしい気持ちになったという。これはきっとインドのサイババのことに違いない。そう考えた一家と取材班はインドに飛んだ。念願かなってサイババに会えた娘は、感激のあまり涙を流す。その後、持ち帰ったサイババグッズに異変が起きた。絵から不思議な灰が湧き出してくるのである。これこそ聖灰(ビブーティ)に違いないと、一家はますますサイババの霊験のあらたかさにうたれるのだった。

この一家だが、父親はヒゲなどはやしていかにも、という風体なのだが、母親のほうが一見普通の人のような外見であるだけに、かえって怖かった。なんだか「底なし」という感じがするではないか。

昔は、このような怪しい番組をよくやっていたものだ。これまでは物質文明の時代だったが、これからは「こころ」の時代が来る。…オカルト的なものは科学を超えたものとして、むしろ好意的に描かれてさえいたのである。

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132.生霊がついてますね 2003.06.07

Yさんの友達に、霊が見える人がいる。妹にも同じように見えるので、姉妹で「あそこにいるなあ」などと話しあったりするという。霊は特に害をなすわけではなく、基本的にただそこにいるだけなのだそうだ。

あるとき体の具合が悪くなったので、彼女は占い師のところに行った。すると、占い師はこのように言ったという。

「これは、前の彼氏の生霊がついてますね」

ではどうしたらいいんですか、と尋ねると、次のような返事であった。

「まず先祖の墓参りに行きなさい」

体の具合が悪いときは、墓参りよりも病院に行ったほうがいいと思う。

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131.おいどんは西郷隆盛でごわす 2003.06.06

「棒でなぐられて怪我をした」

こういう文章を見ると、私は直径2センチ・長さ50センチぐらいの棒を思い浮かべる。しかし、そんなことはどこにも書いていない。実は直径1ミリで長さ1キロの棒かもしれないのだ。直径2センチ・長さ50センチなどというのは私の勝手な思い込みにすぎない。

同じように、我々は会ったこともない人の声を想像して「こうでなければならない」と勝手に思い込んでいる。たとえば、西郷隆盛は

おいどんは、西郷隆盛でごわす

と太い声で言わなければならないし、貴族は

と情けない声でおろおろしなければならない。ひょっとしたら西郷隆盛だって

やあ、僕西郷だよ。ヨロシク!

などというさわやかな声だったかもしれないし、貴族の中にも大仁田厚(レスラーの名前)みたいな暑苦しい喋り方の人がいたかもしれないというのに。

おえ、お前、俺の、俺の!!歌、聞いたか

「はい、聞きました」

バシン(平手打ち)「おえ、お前、聞いてただけか。俺が、俺が!!歌、詠んでたのに。お前、聞いてただけか、おえ。おえ!おえ!!

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