ハイリハイリフレ背後霊過去ログ121〜130




130.やおいって幸せだにゃぁ 2003.06.05

文体は重要である。人によっては、内容さえはっきりしていればどんな書き方でもいいではないか、と思うかもしれない。しかし、それは間違っている。たとえば数学の問題の証明だって文章には違いないが、決まった形式にのっとって書かないとうまく表現することはできない。

(問題)すべての3桁の正の整数について、各桁の数字の合計が3の倍数になるとき、その数字は3の倍数になることを示せ。
(解答)任意の3桁の正の整数xについて、100の位の数字をa、10の位の数字をb、1の位の数字をcとする。(a,b,cは整数)
 x=100a+10b+c・・・・(1)
 である。
 a+b+c=3n(nは正の整数)とすると、
 a=3n−b−cである。
 これを(1)に代入すると
 x=100(3n−b−c)+10b+c
  =300n−90b−99c
  =3(100n−30b−33c)となる。
 100nと30bと33cはすべて整数であるから、100n−30b−33cも整数である。
 ゆえに、xは3の倍数である。
 xは任意の3桁の整数であるから、すべての3桁の正の整数について、各桁の数字の合計が3の倍数になるとき、その数字は3の倍数になることが示された。(証明終わり)

これを「おもしろおかしく」書いたり、「悲壮な決意をみなぎらせて」書いたりするのは難しいと思う。

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他人の文体や口調を真似て遊ぶのは面白い。

以前、水族館に行ったとき、クリオネを見てひどくしょぼかったことがあった。私ならこうなるだろう。

クリオネはしょぼかった。クリオネは和名をハダカカメガイという。「流氷の天使クリオネ」なんていうからもっともらしいが、しょせんハダカカメガイである。小さな水槽の中を、あかい貝がぴこぴこ泳いでいただけだった。コピーは重要だ。

以前クリオネがはやった時、俺の友達の友達はこれを見るためにわざわざ海遊館で30分も並んだのだそうだ。サギや、と思ったらしい。

これは、Yさんの書き方ならこうなるだろう。

水族館にクリオネを見に行った。

「流氷の天使クリオネ」なんてロマンチックなコピーがあったから期待していたのに、実際には小さな水槽で赤い貝がぴこぴこ動いていただけだった。

よく見たら説明書きに「和名:ハダカカメガイ」とあった。ハダカカメガイだったら期待しなかったのに。サギだ。

江戸川乱歩ならこうか。

かつて、人びとのあいだで、クリオネという動物がたいそうもてはやされたことがありました。人びとの口の端に、クリオネの名がのぼらぬ日はないほどでした。

わたしは、クリオネというものをはじめてみるまで、とても期待しておりました。

「流氷の天使クリオネ」!なんというロマンチックなひびきでしょう。きっととびきりすてきなすがたの動物にちがいないのです。しかし、水族館に出向いたわたしの期待は、むざんにもうちくだかれてしまったのです。

ああ、なんということでしょう。クリオネとは、ハダカカメガイという、ただの貝にすぎなかったのです。小さな水槽のまえで、わたしはぼう然としておりました。

Kさんならこうなるだろう。

水族館にクリオネを見に行く.

なんちゅうか、ただの貝ですな.

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私が以前から真似したいと思いつつ、どうしても真似をすることができない、特異な文体を駆使する女性がいる。以下は、彼女本人がある掲示板に書き込んでいたものの引用である。あらかじめ断っておくと、この掲示板はやおい趣味のページのものではなく、ある学校の普通の掲示板である。

●やおいって幸せだにゃぁ///●

投稿者:××× 2001.08.9(thu)12:23:43

●今日は、カクカクシカジカでせせるっちと学校で待ち合わせ中なのですv(謎);’
 来る途中やおい本を立ち読みしてきました〜vあはっ〜vvvvV
 昨日は一日中、有也さんから借りたパソゲー(やおい)をしまくってて徹夜だしv
 はぁぁ〜///幸せ〜Vvvvvvv  幸せうさぎの様だわ〜うふふ…
 やおい求めて6969年〜あぁ…この本を読んだら幸せかなぁ〜…(ペラペラ)←ページめくる音
 ・・・・(おぉ××××!?)・・・・・(このキャラの声は関智一くんだぁv/決定☆)・・・・・・。

 あぁあぁ〜v し・あ・わ・せぇぇええぇぇえ〜〜〜〜〜//// (=▼=。/Vvv

 って〜か!!こんなの描けたら幸せだろうなぁ〜マジで!(遠い目)←画力なしT▲T)゛

なんだかさっぱりわからないが、こんなの書けたら幸せだろうなあ、と思う。

【字数指定なし】

129.続イルカと宇宙人 2003.06.04

イルカマニアのF君が、昔よくやったゲームのことについて話していた。

「イルカになって泳げんねん。で、竜巻が起こって、仲間とはぐれんねん」

「それで」

「超音波でシャチとかとしゃべれたりすんねん。で、仲間を探すねん」

「まあ、普通かな」

「空にチューブみたいなんがあって、そこ泳いで宇宙に行くねん。で、超音波で敵の宇宙人と戦うねん」

「敵?宇宙人?」

「小さいときは『やっぱりゲームには敵が出てこんといかんのかな』とか思って悲しかっただけやねんけど。今考えたら変な話やなあ」

「エコーザドルフィン」という外国のゲームらしい。F君はメガドライブでやったそうだ。

【字数指定なし】

128.オー何と恐ろしいことか 2003.06.03

この世界は永遠に解放のない暗い耐えがたい不幸な精神を繰り返すのであるオー何と恐ろしいことか!

子宮の入口に落ちようとするちょうどその瞬間に汝は誓うべきである「すべての人類が平等でそして幸福でありますように」と、そしたら解放を得るであろう しかし汝の精神が非常に不純であるために地獄界に生まれるのを余儀なくされるであろうオー何と恐ろしいことか!

この迷界の精神的な悪性の毒におぼれて突き進む人間たちはオー何と恐ろしいことか!

阪神大震災の前の年のことだから、1994年のことである。大阪の淀川には大きな橋がいくつもかかっているが、その一つの橋桁にびっしりとこんな言葉がペンキで書き連ねてあった。

再誕生の輪は止められ解放が成就される、しかしこのような精神的能力は非常にまれで一般の人々はクリヤライトを認識することができず、しだいにバルド(魂の裁判所)の低い状能へ落ちてゆき六道に再誕生する

橋桁とはいっても、幅は数十メートル、高さは3メートル以上ある。これの両面にびっしりと文字を埋めるのが以下に大変なことだったか、想像するに余りある。しかも、幅の太い川だから橋桁はいくつもある。それがことごとく同じように文字で埋められているのである。恐るべき意志の力があったのに違いない。

私とT君は、端から順に文章を全部読んでいこうとしたが、あまりにもきりがないので途中であきらめ、ただこの作品を眺めるだけにした。そのうち、橋の下に住んでいる人たちがなんだなんだ、と出てきたので、頃合を見て帰った。

内容は主に人間の来世や成道(じょうどう)に関することであるが、たまにこういうものもあった。おそらく「彼」の活動をからかう子供たちがいたのだろう。

おまえら
死人が出る前にやめとけよ
オレは善の立場で言うとるんやぞ
おまえらの顔を切り裂こうと
首を切り落とそうと何でもないぞ!
原因はおまえらが作っとるわけだ
 親も親やし子も子じゃのう
  後悔、先に立たず(親へ)

1995年の大地震の後、また同じ場所に行ってみたら、すべてきれいに消し去られていた。

【字数指定なし】

127.デッサンみたいな人 2003.06.02

Yさんの友人の、「へそと丸いパンが嫌いで、『足さえきれいだったら顔なんかどうでもいいんです』という変態につけまわされた人」の話である。彼女は、変な夢を見ることが多いのだそうだ。

「なんかぼんやりした夢ばっかりなんですよ」

「普通ちゃうん?(それは当たり前のことではないのか?の意)」

「顔もはっきりしないんですよ。顔の真中に十文字が書いてある、デッサンみたいな人で…」

アニメ「銀河鉄道999」の「機械伯爵」みたいである。

他には、「耳を掻かせろ」と、耳掻きを持った男に追いかけられる夢などを見るそうだ。

【字数指定なし】

126.憲法改悪に賛成せよ 2003.06.01

昔、大学生協が出している校内誌に、次のような投書が載っていた。

「毎年春になると各クラブ・サークルが激しい新人勧誘活動をする。これははっきり言ってうっとうしいと思う。皆さんはうるさくてしつこい勧誘についてどう思いますか?賛成・反対の意見を出し合って議論しましょう」(大意)

私はこれを見て、次のような意見を送った。

「そもそも議論する気があるとは思えない。君の問いかけは『憲法改悪に賛成ですか?反対ですか?』という問いかけと同じようなものだ。憲法改『悪』に賛成するのは難しいので、反対意見ばかりになってしまい、議論にならないだろう。憲法改『悪』と同様に、『うるさくてしつこい勧誘』は悪いことに決まっているのだから、それに賛成意見を出すのは難しい。もし賛成意見を出すとしたらこれしかない。『私は、うるさくてしつこい勧誘が大好きです!』」(大意)

結局議論はまったく盛り上がらず、すぐに立ち消えになった。

【字数指定なし】

125.くるくる少女 2003.05.31

昔、仕事場の慰安旅行で滋賀県の信楽に行った。土産物屋の狸の置き物の間にモグサを売っている場所があり、その横に人体のつぼについて書かれた小さなカードがたくさん置いてあるのを見つけた。

カードを手にとってみると、こんなことが書いてあった。

疲れすぎて意欲がわかない

晴レテル ケド 気ガ ノラナイワ

天候がわるいと体調がわるい

雨ノ日 キライ オフロデ アソボ

疲れてくると立ちくらみがする

トウトウ クルクル 世界ヘ 来テ シマッタ

生理のとき腰がはったり痛んだり

ゴロゴロ ユックリ シテ マ〜ス

お腹が痛むことがある

イツモ 晴レ晴レノ 笑顔デ イタイヨネ!

いつもからだが冷える

モウ ヒエ ヒエ ”ブルブル”

いつも食欲がない

何カ食ベ ナイト・・・ デモ 食欲ナイ

疲れると腰がおもだるくなる

新シイ テレビガ 来タ 重イノデ コマッタ

生理のとき下腹部がどうも・・・

フゥ〜 モウ ドコヘモ 出タクナイ

下痢しがちである

体ガ トッ テモ ギク シャク

疲れてくると目がかすんでくる

遊ビニ 行キ タイ! ダメ? カシラ

精神的緊張の疲れで頭痛がする

シャボン ノ ナカデ フワフワ シタイ〜

疲れてくると頭がぼおっとする

今 何ヲ 考エテ イルン ダロウ

疲れてくると顔がむくんでくる

アナタハ イッタイ 誰? 知ラナ〜イ

便秘しがちである

ナ〜ンカ スッキリ シナイ ノ・・・

疲れてくると生理が不順に・・・

モ〜ウ ナン ナノヨ! シッカリ シテヨ

なんだかとても不安な気持ちになったことを覚えている。とりあえず全種類もらって帰った。

【字数指定なし】

【参考】資料1資料2

124.白いカンバス 2003.05.30

京都の、阪急電車S駅のホームは地下にある。このホームの一番端で、いつも壁に立てかけたカンバスに向かって首をひねっている、髪の長い男がいる。何か鉛筆で描いたりもしているようだが、たいていのときカンバスは白いままである。1995年ごろ、私はこの男をすでに見たことがあるのだが、2003年の今になってもやはり見かける。

1998年ごろ、Hという友人が

「お前の好きそうな人が夜中テレビに出とったぞ」

といってわざわざ報告してくれた。それによると男は、このホームにいると人生が見える、という意味のことを言っていたらしい。

【字数指定なし】

123.ネギスペ 2003.05.29(5.30改訂)

「杜撰」という言葉は、杜(昔の人の名前)が作った詩のようにいいかげんだ、という意味である。まさか自分の名前がそんな風に世に残ることになろうとは、予想もしていなかったのに違いない。

私のいた小学校で、「ネギスペ」が流行したことがある。他人のズボンをよってたかってひっぱり、股間に食い込ませるというだけの技である。私はこの技の恐ろしさは理解したが、なぜ名前が「ネギスペ」というのかはわからなかった。尋ねていたら、教えてくれた者がいた。

「『根岸スペシャル』の略や」

四組の根岸という男のことは知っていた。では根岸が開発したから根岸スペシャルなのか、と尋ねると、そうではないということだった。

「あいつよく自分のズボンがずれてくるんをひっぱりあげてるんやんか。それでズボンをひっぱりあげるんを『根岸スペシャル』っていうねん」

根岸も、まさかそんな馬鹿馬鹿しい理由で有名になるとは思っていなかっただろう。

【字数指定なし】

122.百円ババアの思い出 2003.05.28

昔、大学とその周辺に出没し、学生たちにむかって金をねだる「百円ババア」というのがいた。妙に高い声で

「アノー、ヒャクエンカニヒャクエンカモラエマシェンカー…」

と話し掛けられることは毎日のようにあった。こうして集めた金で彼女はどうするのかというと、生協食堂で飯を食うのである。毎日毎日、ババアはそうして暮らしていた。

食堂で、ババアはお茶を汲むのだが、そのやり方が変わっていた。まず一杯汲む。それからその湯飲みをよく振って、別の湯飲みに中身を空ける。またはじめの湯飲みに茶を汲んで同じことを繰り返す。そうしてようやくお茶を飲むのである。あとには中身の入った湯飲みがいくつも残されることになる。

さまざまな人々の証言を総合すると、ババアは決して貧乏なのではなく、ただとてもケチなのであるという。ついでに潔癖症的な人間でもあるらしく、汚れたものには手をつけないという。なるほど身なりは汚くはないし、お茶汲み行動もそれなら理解できる。非常に気位が高いそうだが、それはよくわからない。

食堂の箸で歯糞をほじっていたババアのことを、今もときどき思い出す。

【字数指定なし】

121.汗を飲んでいるようだ 2003.05.27

世間には、知らない食べ物や飲み物は絶対口にしないという人と、面白がってなんでも味見しようとする人の両方がいる。私は後者である。変わったドリンクを見るとつい味見してしまうのだ。

1998年3月15日から20日まで、私は友人と台湾の台北に出かけたのだが、現地では実にさまざまなドリンクに出会うことができた。大体まずかったが、うまいものもたまにはあった。以下は、当時の記録から感想を集めたものだ。何かの参考になるだろう。

なお、「黒松沙士」は後にルートビアと同じものだったということを知った。ルートビアとは、アメリカの清涼飲料水である。成城石井やソニープラザなど輸入食品を扱う店に行けば買える。

【字数指定なし】

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