ハイリハイリフレ背後霊過去ログ91〜100




100.不可抗力 2003.05.04

不可抗力や天変地異などという言葉には、保険の約款以外では大予言系の文章でしか出会えない。だから、約款を読むときには

「今度はどんな不可抗力事由が載っているだろうか?」

とわくわくしてしまう。例えば、これはある町に公園を建設するにあたっての文書からの抜粋である。

「不可抗力事由」とは、天変地異、戦争、火災、不慮の事故、ストライキ、ロックアウト、暴動、嵐、洪水、地震、伝染病、内乱、革命、爆発、津波、台風、高潮、大雪、外部電源からの長期の電力供給停止もしくは市または事業者の合理的な制御が不能なあらゆる事由をいう。

田舎町のドメスティックな雰囲気の文書に突然

「伝染病、内乱、革命、爆発」

などというドラマチックな言葉が現れるのが味である。こういう文書を読むときの気分の高まりは、刑法の

「内乱の罪」

「外患の罪」

「水道に毒を入れる罪」

を読むときのわくわく感に似ている。

【字数指定なし】

99.こえだめブービートラップ 2003.05.03

引越しのとき、古い新聞が出てきた。昭和46年(1971年)7月10日の朝日新聞で、次のような記事が載っていた。

危険な野ツボ放置許せぬ

市・所有者に賠償請求

岸和田 息子奪われた両親

今でこそ「化学肥料を使わない有機栽培」がもてはやされているが、当時の感覚ではそれは「遅れた」「不潔な」ものであり、寄生虫を駆除するためにも人糞肥料は使わない方が望ましいとされていたのである。今、化学というと何となく体に悪そうなイメージがあるが、かつて化学とは清潔でカッコいいものの代名詞であったのだ。

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さて、10年ほど前に、彦根のT君がまだ小学生だった頃の話である。近所の畑に肥を貯める桶があり、中身が飛び散るのが面白くて彼と仲間たちはその中に石を投げ入れまくっていた。そのうち一人が誤って大きな飛沫をかぶってしまった。彼が泣きそうな顔をしているので、慰めるために他のメンバーは次のように提案した。

「わかったわかった。それなら、他の奴もおんなじような目にあえばええんやろ?」

「…うん」

なにが「うん」なのかさっぱりわからないが、とにかく彼らは学校の砂場に落とし穴を掘り、肥桶を持ち出してきてしかけた。そして、何も知らない人間がそこに落ちるのを見て大いに笑った。泣きそうだった男も機嫌を直したのだった。

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98.謎の舌長人種の村は実在した! 2003.05.02

「謎の原始猿人バーゴンは実在した バラワン島奥地絶壁洞穴に黒い野人を追え!」

昔のテレビではこのようなわくわくする番組をやっていたものだが、あまりにも怪しすぎるためか最近はあまりそういうものは見かけない。漫画でも「謎の原住民」「恐怖の人食い人種」といった内容は差別的だからか、すっかり見かけなくなった。

ではそういうセンスのものは絶滅したのかというと、そんなことはない。ちゃんと残っているところには残っているものである。たとえば、私が1997年ごろインドの国鉄アグラフォート駅の売店で表紙につられて購入した漫画は、実に素晴らしいものだった。

あらすじは、このようなものである。

「ジャングルの奥地に、植物と合体した種族の住む村があるらしい」…このような伝説を知った研究者たちは、探検隊を組んでジャングルに向かった。道中体がツタのような人間に隊長が襲われるなどの怪事があいついだが、幻覚だろうと皆軽く考えていた。そのうち、探検隊は逆立ちで暮らし逆立ちの偶像を崇拝する未知の種族の村を発見する。実はこの村こそ伝説の村だった。探検隊を敵とみなした原住民たちは投げ槍や矢で襲ってきた。次々と倒れていく探検隊のメンバーたち。ようやく隊長と女性隊員の一人だけがヘリコプターまで逃れてくることができたが、隊長は体がツタ状の原住民たちに逆襲されて命を失う。標本の原住民も長い舌を女性隊員に絡め、彼女を道連れにヘリコプターから飛び降りようとするが、彼女は敵の舌をナイフで切って難を逃れた。しかし、その時ヘリコプターは崖に衝突して墜落し、結局探検隊は全滅してしまったのだった。

ここには、確実に日本の漫画からは失われてしまった「何か」があると思う。いいものなのか悪いものなのかはわからないが。

【字数指定なし】

【参考】表紙終わりの方

97.岡山大学の福祉妨害犯罪 2003.05.01

以下は、友人が1999年の終わり頃送ってくれたビラの一部である。理学部の研究室に届いたんだそうだ。なんでも、岡山大学ではすごい犯罪が行われていて、それを糾弾するための文書らしい。この手の人にありがちな「手書き」「細かい字がびっしり」「断定口調」のもので、普通の人は読もうという気にはなかなかならないと思う。私は昔岡山大学に行ったことがあるので、場所を想像しながら読んでみると案外面白かった。

昼食を食べた岡山大学西門を通ると、1月4日から後必ず向こう側から×××が歩いて来て西門ですれちがった。ガチャガチャは5日間続いてその後は1時間半給料泥棒に戻った。毎日泥棒犯人が、お前の行動を監視して懲戒処分するぞと恐迫(原文ママ)している。1ヵ月ぐらいあとには、やはり昼食を食べに西門と正門の間の歩道を歩いていると教養部教授(今は理学部物理学科教授)××××が居て、『キツツキの会(点訳奉仕)の学生たちが××さんに会いたがっていますよ』と言うので、私が『あなた、キツツキの会の顧問教官ですか』と質問したらちがうと言う。学生部長の犯罪を取り上げると、キツツキの会に手を回すというオドシらしい。

西門でしょっちゅう関係者に会うのは、同じような場所で生活しているからだと思う。

【字数指定なし】

【参考】資料1資料2(注:重い)

96.鞍馬寺の起源 2003.04.30

約650万年前、人類の進化を司るべく、遠く金星より魔王サナート・クマラが降臨した。それが、鞍馬寺の起源である。

牛若丸の故事で有名な京都の鞍馬寺に行くと、そう書いてある。

【字数指定なし】

95.ドコカの国にようこそ! 2003.04.29

Yさんの勧めにしたがって、「ドコカの国にようこそ!」という絵本を読んだ。寝小便ばかりしている少年フトシが、夢にでてきた鎧武者みたいな人の指示に従っていろんな試練を乗り越え、「ドコカ」に行ってしまうという話である。こう書くとふつうの話だが、その試練というのが

「毛虫のぬいぐるみを着て道路を這って歩く」

とか

「気持ち悪い人形にキスをする」

などという狂ったものであり、最後にたどりつく「ドコカ」も、全然そこに行きたいという気が起こらない異常な世界であり、さし絵の気持ち悪さとあいまってとにかくたまらない絵本だった。たいていこういう話はいろんな試練のあと

「じつはそんな理想の世界はないんだよ」

という「青い鳥」パターンなのであるが、本当にどこかに行ってしまうというところも「風船おじさん」を思い出させて気味が悪かった。

Yさんは小学生のとき学校の図書館からこの本を冬休みの間中借りてしまい、とても嫌な思いをしたという。20年たっても忘れられないそうだ。

【字数指定なし】

94.ヘルメス 2003.04.27

昔(1997年ぐらい)私がパソコン通信をはじめた頃、「ヘルメスオフ」というオフ会(※オフラインで会うこと。つまり、ネット上でではなく現実に集まって何かをすること)があった。当時上映中だった宗教アニメ「ヘルメス」を劇場にみんなで見にいこうという企画である。私は参加出来なかったのだが、大変盛り上がったそうだ。彼らが劇場でげらげら笑っていたところ、とても怒った顔つきの女性が近づいてきてこう言ったらしい。

「あなたたちは、人間として最低です!!」

怒られた連中はかえって大喜びして、後日「人として最低オフ」が他の地域でも行われたという。

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(日記より)

2000/9/23(土) 前から見たかったKの科学アニメ「ヘルメス・愛は風の如く」を見る。感想は次の通り。

あらすじ

(プロローグ)

宇宙の闇の中に、輝くものがあった。そこから金色の羽根のようなものが飛びたって、あたりに光の粉を振りまきながら地上にむけて降下していった。

(本編・前半)

ここは今から4千数百年前のクレタ島である。クレタ島の都市国家の一つ(名前は忘れた)で、今まさに王子が誕生しようとしていた。金色の羽根がその王宮に飛び込んでいったと見るや、王子が生まれた。王子はヘルメスと名づけられた。ヘルメスは成長して強くてやさしく、また美しい若者になった。

ヘルメスはとらわれの姫を救い出すという冒険を行い、その姫を妻とした。

ある日、ヘルメスは神の啓示を受ける。

「お前には使命がある。ミノス王を倒し、地中海世界に平和をもたらすのだ」

当時、ミノス王という恐るべき王がいた。ミノス王はその強力な軍隊をもって近隣の諸国を蹂躙し、やがては地中海世界すべてをわが手に収めようとしていた。

はるかに貧弱な軍勢しか持たないヘルメスはアテネの英雄テーセウスと図って、ついにミノス王を滅ぼした。神を信じない傲慢な王は焼け落ちる王宮で悲惨な最後を遂げた。

ヘルメスは王になり、貿易を振興して勢い盛んな国を作った。美しい妻から健康な王子も生まれ、まさに現世の幸福を体現した人となった。

(本編・後半)

しかしヘルメスは思った。たしかに自分は物質的な幸福は得た。だが、精神的なものを忘れているのではないだろうか、と。そんなある日、ヘルメスは再び神の言葉を聞く。神の命じるままに、毎日海に向かって座り、心を統一しようとヘルメスは努めた。そして、ついにヘルメスはビジョンを見た。それは、目の前の草が生えては種を残して枯れ、その繰り返しが連綿と続いていくというものであった。そしてヘルメスは突如として理解した。

「すべてが、生かされている!!」

理解したヘルメスの前に神が再び現れた。神はヘルメスに告げた。「過去世において、お前は私自身であった。私はお前でもあるのだ」と。そして、不思議な杖「リュケイオンの杖」を渡した。ヘルメスは杖の能力を人々のために役立てた。

ある夜、祈りをささげていたヘルメスのもとに、二人の妖精が現れた。妖精はヘルメスに羽根が生えた靴をくれた。その靴を履くと、ヘルメスの精神は肉体から離れ、空中に飛び上がった。妖精に導かれるまま、ヘルメスは天上界を訪れた。

天上界は物質ではなく、精神が支配している世界であった。そこでは「あれ」と思えばそのものが現れ、「こうなれ」と思えばそのとおりになった。さまざまな生き物や山河がおりなす一大交響楽に、ヘルメスは陶然となった。

だが、その平安を乱す影があった。地獄に落ちたミダス王が今度は地獄の王となって荒れ狂っているのだという。ヘルメスはミダス王を今度こそ完全に滅ぼすべく、地獄に向かった。

地獄の人々の生活は悲惨であった。男は木に姿を変えられ、切られ、火にくべられた。女はその火で釜茹でにされた。そして、死ぬこともできず、永遠にそれを繰り返しているのだった。

怪物そのものの姿に変わり果てたミノス王が現れた。ヘルメスはミノス王と戦いを始めたが、まったく手も足も出なかった。進退きわまったヘルメスの耳に、神から聞いた言葉がよみがえってきた。「お前は私自身であった」

そうだ、とヘルメスは気づいた。神が怪物に負けるはずはないのだ。そのとき不思議な光の束が地獄の天井を突き破って、空中高くヘルメスを運び上げた。やがて空中から降りてきたヘルメスと天の軍勢の放つ光の矢が、ミノス王を完全に滅ぼした。勝利したヘルメスは神の声を聞いた。「お前が勝ったのは信仰のおかげだったことを忘れてはならない」

ヘルメスは肉体に帰った。そして、愛と信仰に満ちた幸せな世の中を建設することを改めて誓うのだった。

(エピローグ)

金色の羽根が宇宙空間の闇の中を飛んでいる。そして、地上に向けて降下を開始した。地球がゆっくりと迫ってくる。羽根はやがて雲を抜け、日本列島の中ほどに向けて降りていった。

この作品の見所

この作品の前半は、退屈なヒロイックファンタジーである。見所はそれほどない。あるとすれば大川隆法作詞作曲の独特の挿入歌ぐらいであろう。絵や声優は非常に豪華で(子安武人、伊藤美紀、井上喜久子など)手作り感覚のオウムアニメとは違う。非常にゴージャスな技術でだらだらとした作品を作っている、そんな感じである。おそらく原作を尊重したのだろう。

面白いのはむしろ後半である。物質的には満足したが、なお精神的な幸福を求めるヘルメスの心理は、むしろ現代の人間のそれである。ギリシャ風の外見に惑わされてはいけない。神についての教義、天国と地獄の描写、政治的意見(首都を移転して商業都市を作り、貿易を振興する)、信仰を大切にしない人間が受ける傲罰等々、Kの科学の本に書いてある事ばかりである。「過去世(かこぜ)」なんていうテクニカルタームまで出てくる。信者の人たちはこの物語を物質的な「事実」であると受け止めているかもしれないが、私は別に信者ではないので、ヘルメスたちはコスプレをした現代人であるというふうに解釈したいと思う。

よくこの作品をけなすのに、ギリシャ神話の人の名前がめちゃくちゃだとか、出てくる道具がその時代にはないものだとか、そういう突込みを入れる人がいるが、それは間違いである。そもそもナレーションで「このアニメこそが本当のことで、巷に流布しているギリシャ神話のほうが偽物なのだ」という意味のことを言っているのだから、そういう批判はそもそも何の効力も持たない。

描写の矛盾がおおいという批判もある。たしかに、さっき素顔をさらしていた人が仮面をつけていたり、さっき大時化で転覆したボートがちゃんとつないであったり、さっき折られた剣が折れていなかったりはする。だが、そんなことはよくあることだ。もっとひどいアニメなどいくらでもある。私も最近「デルパワーX爆発みらくる元気!!」というOVAを見ていてつくづくそう思った。だから、そんなことはさして問題にはならない。 この作品の真の見所は、エピローグにこそある。金色の羽根は日本の、おそらく東京に降りたのにちがいない。そう、あのヘルメスが今東京に住んでいるのだ。知って驚く意外な事実!(見ている最中にうすうす気づいてはいたけれども。)

その他思ったことなど

  1. 「ノストラダムス戦慄の啓示」にもやっぱり白く光り輝くものが出てきた。

  2. Kの科学の漫画で、こんなのがあった。宇宙に、「エル・カンターレ」という至高の存在がある。そして、エル・カンターレは今東京に人の姿を取ってすんでいるのだ!と。それまでさんざん宇宙の仕組みについて壮大に話を広げまくっていたのに、最後にいきなり「実は今東京にいるのです」と卑近な話になるので、力が抜けた覚えがある。

  3. 「大震災サバイバルマニュアル」というKの科学系の本がある。はじめのほうはどうやって生き残るか、という普通の内容なのだが、最後に「それでも、もし死んだらどうする」という素晴らしすぎる章があって感動した覚えがある。地獄に落ちないためのマニュアルまであるのだ。なんという親切な本であろうか!

  4. 歌はあまり良くなかった。それに比べてオウムは考えてみるといい歌が多かった。

  5. 「でも、精神的なことを忘れているわ」「なんだって?」「ウィリット博士。仏様に祈ることを、忘れてはいけないと思うわ」「うーん。…そりゃそうだ」(ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団)

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93.ギンナン 2003.04.26

彦根出身のT君の話である。

T君とその仲間たちは、小学生の頃日々人の家や畑に侵入し、柿を全部取って食いきれない分は投げて遊んだり、まだ育っていない大根を全部抜いて捨てたりといったいたずらを繰り返した。叱られると腹いせにカメムシやゴキブリがぎっしり詰まった袋を窓から放り込むなど、非道の限りを尽くしたという。

そんな彼らの育った地域の子供の間では、くさいものには「力」があると考えられており、彼らもまたくさいものを使った「武器」の開発研究に余念がなかった。具体的には、つば、腐った牛乳、腐ったジャガイモ、カメムシ、ギンナン、肥溜めといったものが利用されたという。このうち、ギンナンを使った方法が興味深かったので書き記しておく。

まずギンナンを集める。青い実はにおいがないので、赤くなったやつの中でも、割れて乾燥しかけてねとねとしているものが尊ばれる。これをビニールに入れて足で踏む。餃子や肉団子を作るときに、材料をビニールに入れて揉むという手法があるが、それと同じ要領である。こうして得られた汁にちり紙を浸し、人の机の上に置いてにおいをつける。ギンナンはそのままパチンコで発射しても威力絶大で、実に有用だったということである。

なお、中身の食べるところはどうするのか、と訊くと、「捨てる」ということであった。

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92.毒 2003.04.25

彦根出身のTという男から聞いた話である。

小学生の頃、「毒」を作るのがうまい級友がいた。その男の家のあるあたりは猫のために大変迷惑していて、追い払うために使うからといって友人たちに毛虫を集めてくるように頼んだ。鮮やかな緑色の毛虫と毛の長い毛虫でないといけないらしい。そこで言われたとおりにバケツいっぱいの毛虫を集めてきたところ、その男はそれをよく潰して煮込み始めた。なんでも、毛を取り除いたりする工夫があるそうである。そうしてなんだかよくわからない秘法に基づいて何時間も煮詰めてから出来上がった「毒」を猫まんまにかけて、そのあたりに置いておいた。Tらはこれを食べた猫が下痢にでもなって「懲りる」ことを期待していたのだが、次の日に同じ場所にやってくると様子がおかしい。そこら中に猫が倒れているのである。触ってみるとどれも冷たくなっている。確認しただけで6匹はいたという。

「あの時はびっくりした」

Tの感想である。

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91.僕に言ってください 2003.04.24

大阪で地下鉄に乗っていたら、サラリーマンのような格好の若い?病的な太り方と目つきをした男が座っている人に向かって

「降りた方がいいって言ってください!あっちの電車に乗った方がいいって僕に言ってください!僕に降りた方がいいって言ってください!!」

と大きな声で繰り返しつづけていた。座っていた人は何とか無視しようと努力していたが、彼はいつまでも離れなかった。やがて彼は目的の返事を得られたのか、降りて向かい側のホームに行った。この駅は路線の端にある駅だったので、向かい側にも同じ方向行きの電車が来るのである。そちらの方でも、ずっと変な目つきできょろきょろしているのが見えた。

【字数指定なし】

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