大韓遠征記2002

2/18(月)

 田口が復活する。入れ替わりに青柳が倒れる。そこで青柳を寝かせたまま、朝から田口と二人で出る。非常に寒くて、道路が凍っていた。まず南大門市場(なんでもんしじゃん)に行く。布、食べ物、革から石焼ビビンバの入れ物まで何でも売っている。朝早いからかあまり人はいなかった。ここの食堂で朝飯にソルロンタンを食べる。これは白濁した肉のスープで、うまかった。また、臭くも辛くもなかった。田口は焼き飯を食べていた。

 しばらくうろうろしたが、全体におばちゃん向けの町のようで、あまりすることもなかったので今度は歩いてミョンドンに向かった。コンビニで蚕のサナギの缶詰を買った。今日は平日の朝だからかすいていた。昨日から気になっていた「たまちゃん」に行ってみるが、工事中で何もなかった。ここでまた意味もなくうろうろして(日本の字で「珍かつ」と書かれた店を発見した。ちなみに、トンカツは韓国語ではトンカスという。その界隈にはあやしい「日式」の料理を出す店がたくさんあった)から、約束どおりホテルの青柳に電話するがつながらなかった。青柳がウィダーインゼリーが食いたいとかプリンが食いたいとかシュークリームが食いたいとかスポーツドリンクが飲みたいとかミルクティーが飲みたいとか言っていたので探したが、コンビニではスポーツドリンク以外全然みつからなかった。そこで仕方なく「実いっぱいたらみ」という日本でもよく売っているゼリーと菓子パンと紅茶のティーパックとゲータレードとロールカステラ(あんこ入り)をかって帰った。途中ビデオ屋を発見したが大した商品が見当たらず、また売っているのではなく貸しているようだったので、収穫はなかった。薬局によって風邪薬を購入してホテルに帰還。ここで12時。

 しばらく休んで、今度は市庁(しちょん)近くの光化門(がんほぁむん)駅からすぐのところにある、教保(きょんぼ)文庫という本屋に行ってみた。梅田の紀伊国屋のように広大でものすごい数の人がいた。市内には全然本屋が見当たらなくておかしいと思っていたが、やっぱりあるところにはあるのだ。ここのテープやCDを売るコーナーで「TVまんが主題歌集」(たぶん)を数本購入。下手くそなヨースルコンジュミンキやディラゴンボルの絵が描いてあった。韓国ではテープがとても安く、一本280円ぐらいである。CDは1300円ぐらいなので、テープのほうがだいぶ安い。そんなわけでテープがまだかなり幅を利かせている。DVDコーナーにも行ってみたが、日本文化の輸入が自由化されたせいか期待したようなあやしい製品は全然なく、正規の契約を結んで輸入されたものばかりだった。たとえばウンハチョルドグククが売られていたが、松本零次のちゃんとしたやつだった。テコンVのような韓国作品は全然売られていなかった。まことに意外かつ残念なことである。コンピュータ関係の本は日本と同じだった。日本の本はコーナーがあってたいてい手に入るようだった(ただし少し高い)。雑誌などそそるものもあったが、とりあえず広末涼子の写真が怪しげな使われ方をしている日本語の教本を買って出た。

 もう一軒、ミョンポブックセンターというところにもいった。途中たくさんの機動隊員を見た。機動隊員たちは寒そうで、じゃれあったりその場で駆け足したりしていた。ミョンポでは漫画も売っていた。日本の漫画がたくさんあった。日本文化解禁のためか、正規版ばかりで私としてはあまり面白くなかった。ここでドラえもん2巻・8巻、「熱血江湖」26巻、「武刀」(?)という漫画と、プリンセスメーカー1・2韓文版を購入。漫画は間違えて一つ香港の作者のを買ってしまった。「外人球団」は見つけられなかった。残念である。

 店を出てから、近所のお好み食堂(同じマークの店をたくさん見かけたからチェーン店らしい)で「ビビンマンドゥ」なるものを食べる。揚げギョーザと、サラダの上に冷麺が載ったものに例の赤い味噌をかけたものをぐちゃぐちゃ掻き回して食べる。これで3500ウォン。その時はまあまあうまいと思ったが、とにかく腹がいっぱいになるメニューで、あとで腹の中で膨らんでとても苦しかった。田口はトンカスを食べていた。トンカスも一つ食べさせてもらったが、薄くて、ソースも味が薄かった。しかしまあまあうまかった。

 その後東大門(とんでもん)に行く。ここで鯛焼きを食べる。デザインは鯛焼きというより鯉焼きみたいだった。薄くてぱりぱりして甘くなくてうまかった。ここで古本屋街をめぐるが目新しいものは見当たらなかった。もっと奥に入って探せばいいものもあったかもしれない。学習漫画とかがひもで縛って売られていた。ここで「外人球団」をまとめて手に入れた人の話を「マンガゾンビ」という本で読んだことがある。とにかくこの日は寒くてあまり探す気がしなかった。(古本屋はみんな外に面したところにある。)その辺をしばらくぶらぶらする。目だし帽がやたらと売られていた。どこで使うんだろうか。ねじやボタンやビーズの店ばかり延々と続いた。なぜか何だか懐かしい光景である。その後ホテルまで歩いた。ちょっと路地に入るとIC、コネクタ、時計、アクセサリ、計器、トランジスタといったものの問屋がどこまでもどこまでも続いていた。いくら行っても終わらない。この界隈だけで一体いくつの店があるのかさっぱりわからなかった。店の前でチンチロリンのようなばくちをしている男たちがいた。食べ物の屋台や服の店もいっぱいあった。いいかげん疲れてきたので大通りに出ると、もうホテルのすぐ近くだった。ホテルの回りには何もないと思っていたが、ちょっと奥に入るとこのとおりとても豊饒な世界が広がっていたというわけだ。

 やがてホテルについた。青柳は出かけていて、テレビを見ているところに帰ってきた。サウナに行く。その後、また外に出てPCバンに行く。青柳が熱いミルクティーが飲みたいというので砂糖とクリームを買いに行くが、なぜか手に入らず、困った挙句マクドナルドのなんだかわからないセットのテイクアウトでコーヒーを頼み、何とか手に入れる。帰ってからヘンボゴ(ハンバーガーのことを韓国ではこう呼ぶ)を食べてみたらてりやきダブルチーズバーガーで(こんなメニューあるのか?)、味は普通だった。下痢が激しいがひたすら食いつづけ飲みつづける。食べないとかえって弱ってしまうからだ。昼のビビンマンドゥがふくらんで胃が苦しいので、「胃力」というヨーグルトを飲んでみる。するとなんだか良くなってきたようである。味は普通のヨーグルトと同じ。